ケルト神話 · アイルランド神話、アルスター伝説群です。

クー・フーリン

「クランの犬」はただ一人で侵攻軍を食い止め、最後は石柱に身を縛りつけ、立ったまま息絶えました。

クー・フーリン

ケルト神話 · アイルランド神話、アルスター伝説群です。

クー・フーリン

「クランの犬」はただ一人で侵攻軍を食い止め、最後は石柱に身を縛りつけ、立ったまま息絶えました。

伝説と物語

クー・フーリンの本名はセタンタで、神ルーグと人間の女性デヒティネの子です。少年時代、鍛冶屋クランの家へ宴に向かう途中、自衛のためにクランの猛犬を殺してしまい、代わりに新しい犬が育つまで門番を務めることを自ら申し出たことから、「クランの犬」という名を得ました。女武者スカーハに師事し、魔槍ゲイ・ボルグを授かります。十七歳のとき、コノートの女王メイヴが名牛「クーリーの茶色の雄牛」を奪うために大軍を率いてアルスターに侵入しましたが、アルスターの戦士たちは呪いにかかって動けなくなり、クー・フーリン一人だけが大軍の前に立ちはだかり、何日も一騎打ちを続けました。怒りにかられると「狂戦」状態に入り、顔はまったく見分けがつかなくなり、敵味方の区別もつかなくなります。最後は重傷を負い、自らを石柱に縛り付けて立ったまま死に、カラスが肩に舞い降りて初めて人々は彼が死んだことを知りました。

物語の起源

クー・フーリンは中世アイルランド文献『牛追いの長征記』およびアルスター伝説群の中心人物です。現存する最古のテキストは古アイルランド語と中アイルランド語で書かれ、およそ十二世紀に成りました。半神の血統、狂戦による変身、一人で大軍を退けることなどは伝説の要素です。伝説に登場するアルスターの王宮エヴァン・マハは、現在のアーマー近郊にあるナヴァン・フォート遺跡に対応しますが、伝説の人物と特定の歴史上の王を一つ一つ対応づける確証はなく、疑わしいままです。ダブリン中央郵便局ホールにある《クー・フーリンの死》の銅像は事実です。オリヴァー・シェパードの石膏原型は一九一一年に完成し、一九一四年に展示され、青銅像は一九三五年に除幕されました。その後、一九一六年のイースター蜂起の公式記念物に定められましたが、もともと蜂起のために作られたものではありません。

実際に訪ねられる場所

ダブリンでは、中央郵便局のホールでシェパードの《クー・フーリンの死》の銅像をご覧いただけます。同館内の蜂起の証言歴史博物館もあわせて訪れることができます。北アイルランドのアーマー近郊では、ナヴァン・フォート遺跡とビジターセンターをご覧いただけます。そこでは伝説のエヴァン・マハ王宮にちなんだ解説が行われています。クーリー半島一帯は、『牛追いの長征記』でメイヴの大軍が進んだ伝説の地です。

資料の手がかり: https://en.wikipedia.org/wiki/Cú_Chulainn;http://www.britannica.com/topic/Cu-Chulainn;https://www.discoverireland.ie/dublin/cu-chulainn

写真の出典 · クー・フーリンの木彫像(現代の作品で、ダブリン中央郵便局の銅像ではありません) · Leimanbhradain · CC BY-SA 4.0